
ヨガって流派があるの?種類がたくさんあるみたいだけど、なんだかよく分からないな…。
ヨガインストラクターとして働いていると、ヨガの流派についてわりとよく聞かれるけど、上手く答えられなくて。ヨガの種類について教えて欲しいな。
本日はこんなお悩みにお答えします。
本記事で分かること
- 代表的なヨガの流派について分かる
✔本記事を書いた人
ucozi(@ucozi_ikeda)
ヨガの流派について質問されたとき、ちゃんと答えられなくて困った…。
そんな経験はありませんか?
ヨガにはインドの伝統的な流派から、そこから派生して現代的なヨガまで、たくさんの種類があります。
そこで、本記事ではヨガインストラクターなら知っておきたいヨガの流派「21種類」について解説します。
- ヨガの流派を時代で分類
- 現代ヨガの流派17選
- 【現代ヨガの流派①】ハタヨガ
- 【現代ヨガの流派②】アシュタンガヨガ
- 【現代ヨガの流派③】パワーヨガ
- 【現代ヨガの流派④】ヴィンヤサヨガ
- 【現代ヨガの流派⑤】イシュタヨガ
- 【現代ヨガの流派⑥】ビクラムヨガ
- 【現代ヨガの流派⑦】ホットヨガ
- 【現代ヨガの流派⑧】アイアンガーヨガ
- 【現代ヨガの流派⑨】リストラティブヨガ
- 【現代ヨガの流派⑩】クリパルヨガ
- 【現代ヨガの流派⑩】陰ヨガ
- 【現代ヨガの流派⑪】シヴァナンダ
- 【現代ヨガの流派⑫】インテグラルヨガ
- 【現代ヨガの流派⑬】クンダリーニヨガ
- 【現代ヨガの流派⑭】エアリアルヨガ(空中ヨガ)
- 【現代ヨガの流派⑮】ハリウッドヨガ
- 【現代ヨガの流派⑯】沖ヨガ
- 【現代ヨガの流派⑰】ODAKA ヨガ
- 古典ヨガ4選
- まとめ
ヨガの流派を時代で分類
先に伝えておくと、ここで紹介するのがヨガの流派の全てではありません。
ヨガの歴史は古く、4000年から5000年前にインドで生まれたとされています。当時からヨガは心身鍛錬法であり、そこから海外に渡っていろいろな文化や生活と交わることで、さまざまなヨガへと発展していきました。それが、ヨガの流派です。
インド国内でも数多くの流派があり、さらに世界各国に渡って変化を生み、今では全てを把握しきれないほどの流派が生まれています。
なので、ヨガの流派を説明するのは少し難しいのですが、大まかな年代に分けて
- 現代ヨガ17選
- 古典ヨガ4選
として解説したいと思います。
現代ヨガの流派17選
これより、比較的に年代の新しい17個のヨガの流派について解説します。
【現代ヨガの流派①】ハタヨガ
一般的なヨガスタジオや、「RYT200」などのヨガインストラクター養成講座で教えられているのは、ほとんどがハタヨガです。
ハタヨガ以前のヨガは瞑想が中心で、座ってばかりのものしかありませんでした。そのうちにヨガポーズが悟りを開くプロセスに効果的であると考えられ、ポーズ中心のハタヨガが生まれたという歴史があります。
ハタヨガはその後に「アシュタンガヨガ」や「アイアンガーヨガ」、「シヴァナンダヨガ」などの現代ヨガの流派を生み出すきっかけになります。
ハタヨガの「ハ」は太陽・陽、「タ」は月・陰を意味し、身体の陰と陽をバランスよく調和することを目的としたヨガとされています。
【現代ヨガの流派②】アシュタンガヨガ
アシュタンガヨガは、「ハタヨガ」をベースにインドの「シュリ・K・パタビジョイス」によって創られたヨガ。ヨガの根本教典「ヨガスートラ」に記された「八支則」の教えに基づいたヨガです。
八支則とはヨガを深めるために行うべき8つの教えのこと。この考え方を基本に、呼吸とポーズをリンクさせながらダイナミックに動きます。決まったポーズを繰り返し行うのが特徴で、ポーズの難易度も難しいです。
「レッドクラス」と呼ばれるインストラクターのリードに合わせてクラス全体で行うレッスンと、「マイソールクラス」と呼ばれる生徒がそれぞれのペースで練習していく方法のレッスンがあります。
後に発展する「パワーヨガ」や「ヴィンヤサヨガ」ベースになってます。
【現代ヨガの流派③】パワーヨガ
パワーヨガは「アシュタンガヨガ」をベースに、アメリカで開発された運動量の多いヨガです。
現代人にとってより需要が高いエクササイズ要素を強めており、立ちポーズがメイン。ポーズのキープ時間が長く、汗もしっかりかくのでダイエット効果も期待できます。
ハリウッド女優などが美容法として取り入れたことから、世界中でブームになりました。
【現代ヨガの流派④】ヴィンヤサヨガ
「パワーヨガ」と同じく「アシュタンガヨガ」をベースに派生したヨガ。こちらもアメリカで生まれました。複数のポーズを流れるように続けて行うので、別名「フローヨガ」とも呼ばれています。
インストラクターによって取り入れるポーズは自由。なので生徒のレベルにあわせて調整しやすいのが特徴です。アシュタンガヨガは決まったポーズを繰り返し行うルールでしたが、ヴィンヤサヨガは初心者でも取り組みやすいように改良されたものです。
【現代ヨガの流派⑤】イシュタヨガ
イシュタヨガはアメリカニューヨークが発祥。「ハタヨガ」をベースに医学(アーユルヴェーダ)や哲学の要素を取り入れた流派です。
「イシュタ」とはサンスクリット語で「個人」を表し、イシュタヨガは性格や体質、年齢など各々の個性に合わせて修正を加えながらポーズを習得するのが特徴です。リハビリにも利用されたことがあり、初心者にもおすすめのヨガです。
【現代ヨガの流派⑥】ビクラムヨガ
ビクラムヨガは、インド生まれのアメリカ人「ビクラム・チョードリー」によって考案されたヨガ。温度40度、湿度40%以上の室内環境で行い、「ホットヨガの元祖」とも呼ばれています。
ビクラムヨガはルールが明確で、2種類の呼吸法と26種類の決まったポーズを同じ順番で90分間かけて行います。
マドンナやレディーガガなどのハリウッドセレブが行ったことで知られています。
【現代ヨガの流派⑦】ホットヨガ
日本で最も多いヨガスタジオはホットヨガです。このホットヨガの発祥は日本と言われています。
前述の「ビクラム・チョードリー」が来日した際に、日本の寒さで思うようにヨガのポーズが取れないことに不自由を感じ暖房器具を使ったのがきっかけとされています。
温度は35度〜40度、湿度60%前後と、温度・湿度はスタジオによって異なります。また、ホットヨガにも「溶岩ヨガ」「岩盤ヨガ」「床暖房」「ヒーター」など様々な種類があります。
【現代ヨガの流派⑧】アイアンガーヨガ
アイアンガーヨガは、「B.K.S.アイアンガー」によって考案されたヨガの流派。ヨガブロックやヨガベルトなどのプロップスと呼ばれる補助器具を使うのが特徴です。
アイアンガーヨガは世界中で大ブームを起こします。そのきっかけは1966年に出版された「ハタヨガの真髄(Light on Yoga)」でした。この書籍は欧米にヨガブームを起こし、「ヨガといえばアイアンガーヨガ」といわれるほどの人気となりました。後の2004年にアイアンガーは「世界で最も影響力のある100人」の1人にも選ばれています。
アイアンガーの考案した器具は、日本のヨガスタジオにも導入されており、現代ヨガに大きな影響を与えています。
【現代ヨガの流派⑨】リストラティブヨガ
リストラティブヨガは、「アイアンガーヨガ」から派生したヨガ。1990年代にアメリカの理学療法士でありアイアンガーヨガの正式認定指導者「ジュディス・ラサター」によって考案されました。
ブランケット、ボルスター、ベルトなど、身体を支えるプロップス(補助器具)をたくさん使い、心身の回復を目的に緊張の緩和、エネルギーの回復へと導くリラックス系のヨガです。リハビリ目的に利用されることもあるため、高齢の方や妊婦、ヨガ初心者などに向いているヨガです。
アイアンがーヨガが「動」的なヨガなのに対し、リストラティブヨガは「静」的なヨガになります。
【現代ヨガの流派⑩】クリパルヨガ
「クリパル」とはサンスクリット語で「慈しみ」という意味をもち、「慈しみのヨガ」とも呼ばれています。インド人の「スワミ・クリパル」が1970年代にアメリカのクリパルセンターで伝えた教えに基づいたヨガの流派です。
ヨガをエクササイズとしてではなく、生活に取り入れようとするヨガ。自分の心の中にある感情を受け入れることで、心の安定を求めることを大切にしています。
セラピー的な要素が強く、自分への理解を深めたり、人との関係を改善するなど精神性に重きをおいた静的なヨガを好む人に人気です。
【現代ヨガの流派⑩】陰ヨガ
陰ヨガはアメリカ人の「ポーリージンク」によって生み出されました。彼はアメリカの武道チャンピオンの肩書も持っています。
陰ヨガの特徴は、ひとつのポーズをじっくりと行うことでゆっくりと筋肉の緊張をほぐしていくヨガ。例えば、ポーズを取ったら3~5分間キープ。ポーズのほとんどは座ったままか寝た状態で行います。
日常生活であまり動かすことのない部位をほぐすことから、柔軟性を高めていくのが特徴。深い呼吸を繰り返すのでリラックス効果も高いです。
【現代ヨガの流派⑪】シヴァナンダ
西洋医学の医師であったインド人の「スワミ・シヴァナンダ」によって考案されたヨガの流派。科学的な視点でヨガを体系化しています。
毎回、12種類の基本のポーズを順番に行うので、今の自分の心と身体の状態がよく分かります。ひとつひとつのポーズ(アーサナ)を大切にしており、アーサナ毎に毎回シャバアーサナ(屍のポーズ)を挟むのも特徴的です。
ポーズと瞑想と呼吸を同等と位置づけ、教えは食事にまで踏み込んでいるので、ヨガを広範囲に学びたい人に人気です。
【現代ヨガの流派⑫】インテグラルヨガ
インテグラルとは、「統合・総合」を意味します。伝統的なヨガからいいとこどりをしたヨガとして有名です。呼吸、ポーズ、瞑想まで幅広い要素が取り入れられており、伝統的な要素を保ちつつ現代向けにアレンジされています。
1966年に「スワミ・サッチナンダ」によって考案されました。サッチナンダは「シヴァナンダヨガ」を確立した「スワミ・シヴァナンダ」の元にいました。
日本では、元タレントの「千葉麗子」がインテグラルヨガを学び広めました。千葉麗子は国内最大級のヨガイベント「ヨガフェスタ」の初期メンバーとしても活躍してましたね。
【現代ヨガの流派⑬】クンダリーニヨガ
歴史的には本来、「ハタヨガ」は修行者のためのものでした。一方で家庭や仕事を持つ在家のためのヨガとして位置づけられたのがクンダリーニヨーガです。クンダリーニはサンスクリットで「螺旋を有するもの」を意味します。背骨の一番下、尾骨のあたりに存在する生命エネルギーのことを指しています。
クンダリーニヨガでは「火の呼吸」という呼吸法を用います。具体的には1分間に腹式呼吸を200回行い、短時間でエネルギーを高め、全身のエネルギーを高めます。
短期間で効果が上がる技法として注目される一方で、自律神経を害する可能性も指摘されているので、正しく指導できるインストラクターの元で行う必要があります。
【現代ヨガの流派⑭】エアリアルヨガ(空中ヨガ)
エアリアルヨガ(空中ヨガ)は、天井から吊るされた布を用いて空中で行うヨガ。様々な名前で呼ばれることが多いですが、最初に「反重力ヨガ、アンティグラビティ」として考案したのは、ニューヨークのダンサー「クリストファー・ハリソン」と言われています。
関節が硬い人や腰痛の人でも負担を軽減しながらエクササイズができるため、ニューヨークを起点に世界中で人気になりました。通常のヨガとは異なり、基本的にマットは使用しません。
【現代ヨガの流派⑮】ハリウッドヨガ
ヨガにエアロビクスの要素を追加したヨガ。テンポよく音楽にあわせて動くのが特徴です。
ハリウッドヨガは、1980年代にインドでヨガを学んだアメリカ人が、故郷に持ち帰り独自の発展させたのがはじまりとされています。この頃、ちょうどアメリカでエアロビクスがブームとなっていました。
美しいボディを保つためのプログラム要素が盛り込まれおり、ハリウッドセレブの間で流行したことで数々のメディアに取り上げられ、「ハリウッドヨガ」と呼ばれるようになりました。
【現代ヨガの流派⑯】沖ヨガ
沖ヨガは日本生まれのヨガ。「沖正弘」により創設された日本人のためのヨガです。体を動かすハタヨガに加え、ラージャヨガ、カルマヨガなどのヨガ哲学部分と日本の禅や神道、東洋医学の思想などを融合させたヨガの流派。
沖ヨガは、「求道ヨガ」「総合ヨガ」「生活ヨガ」などとも呼ばれ、食事なども重視しています。
病気とは、本来の自分のバランスが崩れた際に現れるものとして考えられ、本来のバランスに戻すために回復させる方法を推奨しています。
【現代ヨガの流派⑰】ODAKA ヨガ
ODAKAヨガはイギリス人「ロベルト・ミレッティ」によって1984年に創立された、比較的新しいヨガの流派。伝統的なヨガをべースに「武道」「禅」「波の動き」を取り入れ、丹田(下腹部)に意識を向けながら身体を波の様に動かすのが特徴。
ODAKAはそれぞれ、Ocean(海)、Dynamics(力学)、Awareness(気づき)、Keysl (アライメント)、Adaptability(指導)からきており、「Oriental Discsipline Arashi Kyo Academy」の略語となっています。
ミレッティはイギリスのヨガ雑誌「OM YOGA」が選んだ 現代を代表するヨガマスターの一人にも選出されています。
古典ヨガ4選
これまで紹介してきたように、ヨガにはいろいろな種類の流派がありますが、さかのぼると4つの大きな流派に分けられ、「四大ヨガ」と呼ばれています。
- カルマヨガ
- バクティヨガ
- ジニャーニャヨガ
- ラージャヨガ
最後に、この四大ヨガについて解説していきます。
【古典ヨガの流派①】カルマヨガ
カルマヨガは紀元前800~500年頃に作られたヨガと言われています。「カルマ」は日本語では「業」と訳され、「行為」や「行為の結果」といった意味で使われます。
インドでは輪廻転生の考え方が採用されているので、前世で背負ったカルマ(業)が今世に影響を与えていると考えられています。また、今世でカルマ(業)も未来に影響を与えると考えられています。
では、良いことをすればいいのかと言われるとそうでもなく、カルマヨガでは「良いカルマ」「悪いカルマ」の両方から解放されることを目標としています。と、なかなか奥が深いのがカルマヨガです。
カルマヨガでは日常のすべての場面こそが修行の場として考えられおり、ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサも実践したと言われています。
【古典ヨガの流派②】バクティヨガ
バクティヨガは「愛のヨガ」とも呼ばれており、インドで最も強く人が実践しているヨガです。ヒンドゥー教の叙事詩「マハーバーラタ」の中にある聖典「バガバッドギーター」を基礎理念としています。
その昔、ヨガは誰でも学べるものではなく、一部の司祭(バラモン)のみ学ぶことを許されていました。しかし、戦争が起こると一般市民にこそ救いが必要となり、一般の人に分かりやすく説いたものが、ギーターという教本として広まりました。多くの一般市民が学問に触れていない時代に、どんな人でもわかるよう工夫され、編み出されたのがバクティヨガです。
バクティヨガには、「神」という言葉がたくさんできて、神を信じるという宗教的要素が強いのが特徴です。
【古典ヨガの流派③】ジュニャーナヨガ
ジュニャーナヨガは「知恵のヨーガ」とも呼ばれ、身体面よりも精神面を鍛えることに重点が置かれるヨガ。瞑想や教典の勉強などを通して精神面を鍛えるヨガです。
身体面よりも精神面を鍛えることに重点が置かれるため、ハタヨガのようにほとんど動くことはありません。指導者からの説教を聞いたり本を読んだりしながら、多くの気づきを得るスタイルのヨガです。
【古典ヨガの流派④】ラージャヨガ
ラージャとは「王様」という意味があり、ラージャヨガは別名「ヨガの王様」と呼ばれ、すべてを統率することから「統合的ヨガ」とも呼ばれています。
今から約2200年前に、最初のヨガのスタイルとして体系化されたと考えられており、ラージャヨガの誕生をきっかけにその後多くのヨガの流派に発展していきました。
ヨガの経典「ヨーガスートラ」をもとに、心をコントロールするための瞑想を主としています。
まとめ
繰り返しになりますが、今回ここでご紹介したのはほんの一部。ヨガの流派はまだまだたくさんあります。とはいえ、ヨガインストラクターなら、今回紹介した流派は最低限として抑えておきたいところです。
また、今回はさらりとした解説にとどまってますが、各流派はそれぞれ奥深く、魅力的です。
気になる流派のヨガがあれば、ぜひ調べてみることをおすすめします。日本にも様々なヨガスタジオがあるので色々なジャンルを試して、自分にあったヨガのスタイルを見つけるのもいいかもしれませんね。
本日はこのあたりで。
本記事が皆さまの参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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